統合失調症があっても仕事はできる!適した職種と働き続けるコツ
統合失調症は日本人の約100人に1人が経験する、私たちの身近に存在する精神疾患です。症状があると仕事をするのが難しいのではないかと不安に思う方も多いでしょう。しかし、適切な治療と職場環境があれば、統合失調症があっても充実した職業生活を送ることができます。この記事では、統合失調症の特徴や向いている仕事・長く働き続けるためのコツについて解説します。
統合失調症とは?

統合失調症は、心や考えがまとまりにくくなる精神疾患の一つです。発症の原因は現在もはっきりとわかっておらず、精神的なストレスや人生の転機における緊張などがきっかけとなる可能性が考えられています。
統合失調症の主な症状と特徴
統合失調症には主に3つの症状があります。
陽性症状 | 幻覚や幻聴、妄想などが現れます。実際には存在しないものが見えたり聞こえたりする症状で、薬が効きやすい特徴があります。 |
陰性症状 | 健康な状態であれば持っているはずの感情表現や意欲が乏しくなります。目立たない症状ですが、薬が効きにくく治療が長引くことがあります。 |
認知機能障害 | 注意力や記憶力、判断力など物事を認知する能力が低下します。これらの症状は人によって異なり、程度も様々です。 |
仕事をする上で感じる困難とは
統合失調症の方が仕事をする上で感じる困難には、体調が安定しにくいことや疲れやすさがあります。幻聴がある日は仕事に集中しづらかったり、陰性症状の影響で意欲が低下したりすることもあります。
また、認知機能障害の影響により、業務のパフォーマンスが低下することもあるでしょう。症状は人それぞれ異なるため、自分がどのようなことにストレスを感じるかを知っておくことが大切です。
統合失調症のある方の就労状況

平成30年の障害者雇用促進法の改正により、統合失調症を含む精神障がい者が雇用義務の対象となりました。現在では多くの統合失調症の方が様々な職場で働いています。
統合失調症があっても働いている方の割合
令和4年6月時点で雇用されている障がい者は約61万人で、そのうち精神障がい者は約11万人となっています。前年比で11.9%増加しており、精神障がい者の雇用は特に増えていることがわかります。
精神障がいのある方の中でも統合失調症の割合は31.2%と最も多く、働いている方の精神障害者保健福祉手帳の等級は2級が46.9%と約半数を占めています。これらのデータから、統合失調症があっても仕事をすることは十分可能であることがわかります。
どのような業種で活躍しているのか
統合失調症を含む精神障がい者が雇用されている主な業種は、医療福祉が20.0%・製造業が18.3%・卸売小売が15.7%・サービス業が14.3%・情報通信業が7.2%となっています。雇用形態も一般社員・派遣社員・契約社員・パート・アルバイト・フリーランス・公務員など多岐にわたります。具体的な職種としては、事務職・接客業・製造業・運送業・軽作業などで活躍している方が多いようです。
統合失調症の方の労働時間は、週30時間以上が47.2%、週20〜30時間が39.7%、週20時間未満が13.0%となっており、他の障がいと比べて短時間勤務の割合が高い傾向にあります。
統合失調症のある方に向いている仕事

統合失調症の方に向いている仕事は、症状の特性を考慮したものが多いです。ここでは、統合失調症の方が働きやすいとされる具体的な職種を紹介します。
①細かな判断が必要ない仕事
統合失調症の方は、認知機能障害によって判断力が低下することがあります。そのため、複雑な判断が必要ない仕事に向いていることが多いです。
例えば、商品管理の仕事では、倉庫や流通センターでの検品・ピッキング・商品仕分けなどの作業があります。これらは明確なルールに従って行う作業が多く、その場での難しい判断が少ないため、取り組みやすい仕事といえるでしょう。
②人との関わりが少ない職場環境
統合失調症の方は、対人関係によるストレスで症状が悪化することがあります。そのため、人との関わりが比較的少ない職場環境での仕事もおすすめです。
例えば、製造業の仕事では、工場内でベルトコンベアに流れてくる製品を組み立てる作業などがあります。また、ビル清掃やガーデニング・除草作業などの軽作業も、他の人とのコミュニケーションが少なく、自分のペースで取り組める仕事です。
③決まった手順で行うルーティンワーク
統合失調症の方は、変化の多い環境よりも、決まった手順で行うルーティンワークの方が取り組みやすいことが多いです。事務職は、書類整理やデータ入力など定型的な作業が多いため、自分のペースで進められます。電話応対などが含まれない事務職であれば、対人関係のストレスも少なく、統合失調症の方に向いている仕事といえるでしょう。
統合失調症があっても仕事を長く続けるためのコツ

統合失調症があっても仕事を長く続けるためには、いくつかのポイントがあります。ここでは、治療の継続や自己理解・生活リズムの整え方など、働き続けるためのコツを紹介します。
①治療と服薬を継続することの大切さ
統合失調症の治療の中心となるのは、定期的な通院と薬物療法です。症状を安定させるためには、医師の指示に従って治療を続けることが欠かせません。薬の服用を途中でやめたり、自己判断で量を減らしたりすると、症状が再発・悪化することがあります。定期的に通院し、体調や症状について医師に相談しながら、適切な治療を継続しましょう。
②自分の症状を理解して対処する方法
自分の症状やストレスのサインを理解しておくことは、仕事を長く続けるための大切なポイントです。症状が悪化する前兆に早い段階で気づくことで、迅速に対処することができます。
例えば、不眠が続いたり、音に敏感になったりするなど、自分なりの再発のサインを把握しておきましょう。そのようなサインに気づいたら休息を取り、ストレスを軽減する方法を試したり、必要に応じて医師に相談したりすることが大切です。
③生活リズムを整えて体調管理をする
規則正しい生活リズムを保つことは、統合失調症の症状を安定させるために重要です。十分な睡眠や適度な運動・バランスの良い食事を心がけましょう。過労やストレスは症状の悪化につながることがあるため、無理をしすぎないことも大切です。休日はしっかりと休養し、自分のペースで生活することを心がけましょう。
④周囲に相談できる関係を築く
職場に理解者や相談できる人がいると、困ったときに助けを求めやすくなります。信頼できる上司や同僚・産業医など、必要に応じて自分の状況を打ち明けられる関係を築いておくと安心です。一人で抱え込まず、必要なときには周囲に助けを求める姿勢を持ちましょう。
統合失調症のある方が直面しやすい職場での悩み

統合失調症のある方が職場で直面しやすい悩みには、いくつかの共通点があります。ここでは、そうした悩みとその対処法について解説します。
①集中力の維持が難しい時の対処法
統合失調症の方は、思考障害や幻聴などの影響で集中力が低下することがあります。集中力を維持するためには、作業を小さな単位に分けて取り組むことが有効です。必要に応じて休憩を取り、リフレッシュすることも効果的でしょう。静かな環境で作業をしたり、ノイズキャンセリングのイヤホンを使用したりするなど、集中しやすい環境を整えることも大切です。
②疲れやすさへの対策と工夫
統合失調症の方は体力的・精神的に疲れやすいことがあります。自分の体調やペースを考慮して、無理のない範囲で働くことが大切です。短時間勤務や時差出勤・在宅勤務など、働き方に柔軟性がある職場を選ぶことも一つの方法となります。
③やる気や意欲を保つための方法
陰性症状がある方は、意欲や感情の低下に悩むことがあります。小さな目標を設定し、達成感を得ることで、モチベーションを維持する工夫をしましょう。自分の興味や関心がある分野の仕事に就くことで、やりがいを感じやすくなります。趣味や楽しみを持つことも、日々の生活に張りを持たせるために大切です。
④認知機能の課題と仕事の進め方
記憶力や判断力の低下などの認知機能障害がある場合は、メモを取る習慣をつけたり、チェックリストを活用したりすることが役立ちます。複雑な作業は手順書などを利用して一つずつ確認しながら進めることで、ミスを減らすことができます。自分に合った工夫を見つけることが大切です。
まとめ:統合失調症があっても自分に合った仕事で活躍できる
この記事では、統合失調症があっても仕事ができることや、向いている仕事の特徴・長く働き続けるためのコツについて解説してきました。統合失調症は100人に1人が発症する珍しくない病気であり、適切な治療と環境があれば、充実した職業生活を送ることが可能です。
統合失調症の方が仕事を長く続けるためには、治療の継続や自己理解・生活リズムの整え方など、いくつかのポイントがあります。また、自分の特性に合った仕事や職場を選ぶことも重要です。一人で悩まず、専門家のサポートを受けながら、自分に合った働き方を見つけていきましょう。
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