ASDの人に向いている仕事は?特性を活かせる職種と職場環境を解説
ASD(自閉症スペクトラム症)の方は、特性によって仕事で困難を感じることがある一方で、素晴らしい能力を発揮できる場面も多くあります。大切なのは、自分の特性を理解し、それを活かせる仕事を見つけることです。この記事では、ASDの方に向いている仕事や職場環境、就職成功のポイントについて解説します。
ASDの人の特徴と仕事での強み

ASDには、仕事において活かせる独自の特性があります。苦手なことを理解したうえで、得意分野を伸ばすことが重要です。ここではASDの方の仕事における特徴と強みについて詳しく見ていきます。
ASDの人の仕事における特性と課題
ASDの方は、気持ちのやり取りや対人関係が不得意・自分のやり方にこだわりがあるなどの特性があります。場面や状況に応じた言動をとることが難しく、上司やクライアントとのコミュニケーションに支障が出ることもあります。
複数の業務を同時にこなすことも苦手です。指示を聞きながら働くことや、業務が重なった際のマルチタスクに困難を感じる場合があります。
ASDの人が持つ3つの強み
ASDの方には、職場で大きな強みとなる特性があります。
①高い集中力 | 興味のある分野や目標に対して長時間没入でき、周りの人よりも気が散りにくいため、一つの業務を完璧に仕上げることができます |
②優れた細部への注意力 | 見逃しがちなミスや問題点に気づく傾向があり、常に高品質な作業を提供できます |
③ルールや手順を正確に守れる能力 | 決められた手順通りにタスクをこなし、報告することが得意で、安全性や効率が重要視される職場で力を発揮できます |
ASDの人に向いている仕事とは?

ASDの特性を活かせる仕事は数多く存在します。ここでは、職種別に具体的な仕事内容と、その仕事がASDの方に向いている理由を解説していきます。
専門職・技術職
専門職・技術職の分野では、プログラマー・研究者・設計技術者などの職種がASDの方に向いています。これらの職種では、論理的な思考力と細部への注意力が重要です。
プログラマー | ルールやロジックに従って作業を進め、細かなバグにも気づける特性が活きます |
研究職 | 特定のテーマに対する深い考察と集中力が求められ、ASDの方の探究心と没頭する能力が強みとなります |
設計技術者 | 正確な図面作成と細部へのこだわりが評価され、CADオペレーターなどの職種でも活躍できます |
クリエイティブ職
クリエイティブ職では、Webデザイナー・イラストレーター・カメラマンなどの職種が挙げられます。これらの仕事では、ASDの方の持つ視覚的な認知能力と細部へのこだわりが大きな武器となります。これらの職種では、在宅やフリーランスとして働くことも可能です。
Webデザイナー | デザインの整合性やピクセル単位の調整に優れた能力を発揮できます |
イラストレーター | 独創的な発想と緻密な描写力を活かせます |
カメラマン | 構図や光の調整など、細かな技術的要素に注意を払える特性が重要な強みとなります |
事務・管理系の仕事
事務・管理系の職種では、経理事務・データ入力・校正校閲などの仕事がASDの方に適しています。これらの職種は比較的人との接触が少なく、自分のペースで業務を進められる環境が多いのも特徴です。
経理事務 | 数字への正確性とルールに基づいた処理能力が重要視されます |
データ入力 | 長時間の集中力と正確性が求められ、ASDの方の特性が活きます |
校正・校閲 | 文字や表現の誤りを見つける鋭い観察力が必要とされ、細部への注意力が大きな強みとなります |
その他の向いている職種
その他の職種としては、工場作業員・ライン作業・倉庫作業などが挙げられます。これらの仕事では、決められた手順に従って正確に作業を進めることが求められ、ASDの方の特性が活きます。
工場作業員 | 製品の製造や検査、ライン管理などで高い精度の作業が可能です |
ライン作業 | 同じ作業を繰り返し行う必要がありますが、ASDの方は集中力を保ちながら正確に作業を続けられます |
倉庫作業 | 商品の整理や在庫管理など、規則に従った作業が多く、特性を活かせる場面が多々あります |
ASDの人に向いている職場環境とは?

職種選びと同様に、職場環境もASDの方の就労継続に重要な要素です。ここでは、ASDの方が働きやすい環境の特徴と、職場選びのポイントについて解説していきます。
環境面での重要ポイント
ASDの方が働きやすい環境には、いくつかの重要な特徴があります。静かで落ち着いた環境は、感覚過敏の特性に配慮された重要な要素です。人の出入りが少ない個室やパーティションで区切られた作業スペース、一定の温度や照明が保たれた環境が望ましいとされています。
音や光・温度などの刺激が強すぎると、業務に集中できない場合があるため、これらの環境要因への配慮が必要です。在宅ワークができる環境も、ASDの方にとって働きやすい選択肢の一つとなっています。
働きやすい職場の特徴
働きやすい職場環境では、業務内容や指示が明確であることが重要です。具体的なマニュアルやルールが整備されており、業務の優先順位が明確に示されている職場は、ASDの方が力を発揮しやすい環境といえます。
また、年間スケジュールが明確で、突発的な予定変更が少ない職場も望ましい特徴です。上司や同僚とのコミュニケーション方法が確立されており、必要に応じて視覚的な情報(メモや図表など)を活用できる環境も、スムーズな業務遂行に役立ちます。
注意が必要な環境要因
職場環境を選ぶ際には、避けるべき要因についても理解しておく必要があります。頻繁な予定変更や突発的な対応が求められる環境は、ASDの方にとってストレスとなる可能性が高いです。また、オープンスペースで多くの人が行き交う環境や、常に騒がしい場所は、感覚過敏の特性により集中力を保つことが難しくなります。
複数の上司から異なる指示が出される状況や、曖昧な指示のもとで業務を行う必要がある環境も避けた方がよいでしょう。これらの環境要因は、業務効率や心身の健康に影響を与える可能性があるため、職場選びの際には慎重に確認することが重要です。
ASDの人が避けた方がよい仕事とその理由

ASDの特性を考慮すると、向き不向きがある程度、明確な職種があります。ここでは、避けた方がよい仕事の特徴と、職種選びで注意すべきポイントについて解説します。
向いていない仕事の特徴
対人コミュニケーションが重視される仕事は、ASDの方にとって大きな負担となる可能性があります。具体的には、接客業やコールセンター、営業職などが挙げられます。これらの職種では、臨機応変な対応や感情的なコミュニケーションが求められ、ASDの特性と相性が良くない場合が多いです。
また、電話応対や取引先との交渉が多い仕事・総務職や秘書職なども、予測不可能な状況への対応が必要となります。マルチタスクが求められる仕事や、緊急時の判断が必要な業務も、ASDの方には向いていない可能性が高いです。ただし、これらの仕事でも、業務が完全にマニュアル化されているなど、環境が整っている場合は例外となることもあります。
職種選びで気をつけるポイント
職種を選ぶ際には、業務内容だけでなく、その仕事に求められる能力や環境要因も考慮する必要があります。機転を利かせて処理をしなければならない業務や、感情的な対応が求められる仕事は避けた方が無難です。
職場の雰囲気や人間関係、業務の進め方なども重要な検討要素となります。面接時には、具体的な業務内容や職場環境について、詳しく確認することが推奨されます。特に、マニュアルの有無や指示系統の明確さ、業務の優先順位の付け方などは、重要なチェックポイントです。
ASDの人が就職を成功させるためのポイント

就職活動から職場定着まで、様々な段階でポイントとなる要素があります。ここでは、就職成功に向けた具体的なアドバイスを紹介します。
就職活動での準備
就職活動を始める前に、自分の特性や得意分野を理解することが重要です。かかりつけの医師に相談したり、就労支援機関を利用したりすることで、適切なアドバイスを得ることができます。
また、障害者手帳の取得を検討することも選択肢の一つです。就労移行支援事業所では、職業訓練や就職活動のサポートを受けることができ、自分に合った仕事を見つけるための支援を得られます。履歴書や職務経歴書の作成時には、自分の強みや特性を具体的に記載し、企業側に正しく理解してもらえるよう、工夫することが大切です。
面接時の注意点
面接では、自分の特性や必要なサポートについて、適切に伝えることが重要です。事前に面接での質問項目を予想して回答を準備しておくことで、不安を軽減できます。また、職場の環境や業務内容について具体的に質問し、自分に合っているかどうかを確認することも大切です。
面接官とのコミュニケーションでは、視線を合わせることが苦手な場合、その旨を伝えるなど率直に自分の特性を説明するとよいでしょう。面接時の服装や態度にも気を配り、基本的なマナーは押さえておく必要があります。
職場定着のコツ
職場に定着するためには、業務の進め方や職場のルールを早めに理解することが重要です。分からないことがあれば、その場で確認する習慣をつけることが推奨されます。また、自分の特性に合わせた業務の工夫も必要です。
・指示内容をメモに取る
・タスクリストを作成する
・優先順位を明確にする
職場の支援制度やジョブコーチ制度を利用できる場合は、積極的に活用することも検討しましょう。定期的な上司との面談や支援機関との連携も、長期的な就労継続に役立ちます。
まとめ:ASDの特性を活かして向いてる仕事を探そう
ASDの方の就職活動では、自分の特性を理解し、それを活かせる仕事を見つけることが重要です。一人ひとり異なる特性や得意分野があるため、専門家のサポートを受けながら、適切な職種や職場環境を探していくことをおすすめします。
さいたま市浦和区にあるアイトライ浦和センター(旧:アイトライさいたまセンター)では、就労移行支援、就労定着支援、リワーク支援を提供しています。個別支援計画に基づいた訓練から就職活動まで、一人ひとりの状況に合わせたサポートを行っています。
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