健常者でも就労支援は利用できる?利用可能なケースを解説

就労支援は障がいのある方を対象とした福祉サービスですが、実は健常者でも利用できるケースがあります。この記事では、健常者の方が就労支援を利用できる条件や申請の手続き、サービスの内容について解説します。

目次

就労支援を利用できる条件とは

就労支援は一般的に障がいのある方向けのサービスとして知られていますが、医師の意見書があれば、健常者の方も利用できる可能性があります。利用条件や手続きの詳細について見ていきましょう。

就労支援の基本的な利用条件

就労支援サービスは、障害福祉サービス受給者証を持っている方が利用できます。障害者手帳を持っていなくても、医師の意見書があれば多くの自治体で受給者証が取得可能です。強い緊張や疲れやすさ、コミュニケーションの苦手さなどの症状がある方は、医師に相談することで意見書を書いてもらえる可能性があります。

医師の意見書があれば利用できる可能性も

医師の意見書を取得するには、精神科や心療内科で診察を受ける必要があります。診察の際は、自身の症状と就労支援を利用したい旨を医師に伝えましょう。

普通に生活していても、人との会話がうまくいかない、強い緊張を感じる、精神的に疲れやすいなどの症状がある方は、医師に相談してみるのがおすすめです。意見書の発行には通常2,000円から4,000円程度の費用がかかります。これは診察料とは別に必要となる費用です。

グレーゾーンや境界知能の方の利用について

発達障害のグレーゾーンや境界知能の方も、就労支援を利用できる場合があります。グレーゾーンとは、発達障害の特徴がいくつか見られるものの、診断基準をすべて満たしているわけではない状態です。

これらの方々は、日常生活で様々な困難を抱えることが多いため、必要性が認められれば就労支援を利用できます。ただし、自治体によって判断が異なる場合がありますので、お住まいの市区町村の障害福祉課に確認してください。

就労支援サービスの種類と特徴

就労支援には4種類のサービスがあり、それぞれ目的や内容が異なります。ご自身の状況や目標に合わせて、適切なサービスを選ぶことが大切です。

就労移行支援とは

就労移行支援は一般企業への就職を目指す方向けのサービスです。週1回から5回ほど通所し、コミュニケーション訓練やパソコン訓練などを受けることができます。1日の利用時間は2時間から6時間程度で、ビジネスマナー講座や履歴書の添削、面接練習なども行います。

このサービスの特徴は就職に特化した支援が受けられることで、利用期間は原則2年間です。就職後も定着支援を受けることができるため、長期的な就労を目指す方に適しています。

就労継続支援A型の特徴

就労継続支援A型は、施設と雇用契約を結んで働くサービスです。週3回から5回ほど通所し、1日4時間から6時間程度の就労を行います。作業内容は、部品の組み立てや商品の仕分け、弁当作りなどの軽作業が中心です。雇用契約を結ぶため、最低賃金は保障されています。

A型の特徴は利用期間の制限がないことで、体調や状況に合わせて長期的に働き続けることができます。企業での就職に向けた経験を積む場として利用される方も多く、各施設で多様な作業内容が用意されています。

就労継続支援B型について

就労継続支援B型は、雇用契約を結ばずに作業を行うサービスです。週1回から5回、1日1時間から6時間ほど通所して、簡単な作業に従事します。給与の代わりに工賃として月1万円から2万円程度が支給されます。

作業内容には部品加工・衣服のクリーニング・パンやクッキーの製造・農作業などがあります。B型は比較的重度の症状がある方が多く利用するサービスですが、利用期間の制限はなく、自分のペースで働くことが可能です。

就労定着支援の役割

就労定着支援は、就職後のサポートに特化したサービスです。一般企業に就職した後の職場での人間関係や業務上の困りごと、体調管理の方法といった課題に対して、支援員がアドバイスを行います。必要に応じて職場との連携や環境調整も行うため、就職後の不安や心配を一人で抱え込む必要はありません。このように定着支援は、長く働き続けるための重要なサポートとなり、職場での困りごとを早期に解決することにつながります。

就労支援を受けるまでの流れ

就労支援の利用には、いくつかの手続きが必要です。就労支援を受けるまでの流れについて解説します。

医師への相談と意見書の取得方法

就労支援サービスを利用するための第一歩は、精神科や心療内科への受診です。診察の際は、日常生活での困りごとや症状を具体的に医師に伝えましょう。強い緊張・人とのコミュニケーションの難しさ・疲れやすさなど、生活に支障をきたしている症状を説明することが大切です。

医師は診察を通じて、就労支援サービスが必要かどうかを判断します。医師に対して、意見書が必要な理由と、利用したい就労支援の種類をはっきり伝えることで、適切な意見書を書いてもらいやすくなります。

障害福祉サービス受給者証の申請手続き

医師の意見書を取得したら、住んでいる地域の市区町村役所で障害福祉サービス受給者証の申請を行います。役所の障害福祉課の窓口で、就労支援サービスの利用を希望することを伝え、必要な書類を提出します。申請時には印鑑・マイナンバー・医師の意見書・市町村民税課税証明書などが必要です。

申請後、市区町村の職員による認定調査があり、面接や自宅訪問が行われることもあります。申請から受給者証の発行までは通常1か月程度です。自治体によって必要書類や審査基準が異なる場合があるため、事前に確認することをおすすめします。

事業所の見学と選び方のポイント

就労支援事業所には、精神疾患に特化した事業所・発達障害に特化した事業所・ITスキルを学べる事業所といった様々な種類があります。事業所選びの際には、自分の目標や希望する学習内容に合わせて行うことが重要です。見学の際は、施設の雰囲気や支援内容、通所のしやすさなどをチェックしましょう。

実際に通所している方の様子や支援スタッフの対応も見学のポイントです。気になることは支援員に直接質問し、不安な点を解消してから利用を決めましょう。

就労支援利用のメリットとデメリット

就労支援サービスには良い点と注意点があります。利用を検討する前に、両面を理解しておくことが大切です。

支援を受けることで得られる効果

就労支援サービスの大きな利点は、就職に向けた体系的な訓練を受けられることです。就労移行支援では、職場で必要なビジネスマナーやパソコンスキルを身につけられます。

支援員は精神保健福祉士や社会福祉士などの資格を持つ専門家が多く、専門的な立場から適切なアドバイスをもらえます。人それぞれの状況に応じて、無理のないペースで訓練を進めることができるのも特徴です。

利用前に知っておくべき注意点

就労支援サービスを利用する際の注意点として、収入面の課題があります。就労移行支援を利用している間は基本的に収入がありません。就労継続支援A型では最低賃金が保障されますが、B型の場合は工賃として月1万円から2万円程度の収入になります。

また、生活保護や住民税非課税世帯以外の方は、サービス利用料が発生する場合もあります。通所にかかる交通費は自己負担が基本です。利用期間については、就労移行支援は原則2年間と決められています。

長期的なキャリア形成の視点

就労支援サービスは、単に就職するためだけでなく、長期的なキャリア形成の視点も重要です。就労継続支援A型やB型では、実際の仕事を通じて働く経験を積むことができます。これらの経験は、将来の就職活動や職場での適応に役立ちます。

ただし、支援を受けることで就職が確実に保証されるわけではありません。利用者自身の意欲と努力も重要な要素となります。

まとめ

就労支援は、医師の意見書があれば健常者の方も利用できる可能性があります。就労移行支援、就労継続支援A型・B型、就労定着支援といった様々なサービスがあり、それぞれの特徴を理解した上で選択することが大切です。利用を始めるには、医師の意見書を取得し、お住まいの自治体で障害福祉サービス受給者証を申請する必要があります。

就労支援の利用をお考えの方は、さいたま市にある「アイトライ浦和センター(旧:アイトライさいたまセンター)」にご相談ください。看護師や社会福祉士・精神保健福祉士・キャリアコンサルタントなどの資格を持つ専門スタッフが、一人ひとりの状況に合わせた支援プランをご提案いたします。まずは見学から、お気軽にお問い合わせください。

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