就労移行支援
アイトライでは、就職ができればどこでもよいという考えではなく、本人が希望する職種や長所を生かせる仕事に就けるように支援することを重視しています。
発達障害の方に向いている仕事と仕事選びのポイント
発達障害のある方が自分らしく働くためには、特性を理解し、適切な職業選択が大切です。自分の得意な部分を活かせる仕事に就くと、長く安定して働き続けられる可能性が広がります。この記事では、発達障害の特性を活かせる仕事と仕事選びで大切なポイントについて解説します。
目次
発達障害の特性と仕事での強みについて
発達障害にはASD・ADHD・LDの3つのタイプがあり、それぞれ異なる特性があります。特性を理解することは、自分に合った仕事を見つける重要な手がかりとなります。
ASDの特性と仕事での活かし方
ASD（自閉スペクトラム症）の方は、物事への強いこだわりと正確な作業が得意という特性があります。決められた手順に沿って着実に作業を進められる点は、多くの職場で重宝される強みです。論理的な思考も得意としており、プログラミングやデータ分析などの分野で力を発揮する方が多くいます。
一方で、急な予定変更や曖昧な指示には戸惑うことがあるため、明確なルールのある環境が望ましいとされています。マニュアル化された作業や一人で黙々と取り組める仕事が得意な方が多いです。
ADHDの特性と仕事での活かし方
ADHD（注意欠如・多動症）の方は、豊かな発想力とコミュニケーション力を持っています。新しいアイデアを次々と生み出せる創造性は、企画職やクリエイティブな仕事で大きな武器となるでしょう。
また、興味のある分野には、人一倍の集中力を発揮できる特徴もあります。ただし、細かい作業や単調な仕事は苦手な傾向があるため、変化に富んだ仕事環境が適しています。そのため、自由な発想が求められる職種や短時間で区切って取り組める業務が向いているのです。
LDの特性と仕事での活かし方
LD（学習障害）の方は、読む・書く・計算するなど特定の能力に困難さを感じることがありますが、それ以外の能力は十分に発揮できます。例えば、文字を読むのが苦手でも、視覚的な情報処理が得意な方もいます。
大切なのは、苦手な部分を把握した上で、得意分野を活かせる仕事を選ぶことです。視覚的な才能を活かしたデザイン系の仕事や、会話力を活かした接客業など、個人の強みに応じて活躍できる職種は様々です。
発達障害の方が活躍できる職種を解説
発達障害の種類によって、活躍しやすい職種は異なります。それぞれの特性を活かせる具体的な職種について詳しく見ていきましょう。
ASDの方に向いている仕事
ASDの方には、正確さと集中力を必要とする職種が向いています。具体的には、システムエンジニアやプログラマーなどのIT関連職種が代表的です。データ入力や経理事務なども、正確な作業が求められる仕事として人気があります。
また、図書館司書や在庫管理など、物を整理・分類する仕事も特性を活かせる職種です。決められた手順に従って作業を進められる製造業での仕事も、ASDの方の強みを発揮できる場面が多いでしょう。
ADHDの方に向いている仕事
ADHDの方には、創造性やコミュニケーション力を活かせる職種が適しています。営業職や企画職は、豊富なアイデアと行動力を活かせる代表的な仕事です。また、Webデザイナーやイラストレーターなどのクリエイティブ職も、新しいものを生み出す能力が高いと評価される場面が多いでしょう。
ほかにも、記者や編集者・清掃業・介護職などの仕事にも向いているとされています。ただし、どの職種でも作業を細かく区切り、短い時間で達成感が得られる環境が望ましいでしょう。
LDの方に向いている仕事
LDの方は、個人によって得意分野が大きく異なります。例えば文字を読むことが苦手でも、優れた視覚認識能力を持っている方もいます。このような場合、カメラマンやデザイナーなど、視覚的な能力を活かせる職種が向いているでしょう。
また、会話によるコミュニケーションが得意な方は、接客業や営業職で活躍できる可能性があります。重要なのは、苦手な部分を補う工夫ができる環境があることです。例えば、メモを取る代わりに音声録音を活用するなど、自分に合った方法で仕事を進められる職場を選ぶことが大切です。
発達障害の方が仕事を選ぶときの大切なポイント
職業選択の前には、自分の特性をよく理解することが重要です。また、職場環境や働き方についても、事前に確認しておくべきポイントがあります。
自分の得意なことから考える方法
就職活動を始める前に、自分の得意分野と苦手分野を整理することが大切です。普段の生活の中で、どのような作業が楽しく感じるか、どんな時に達成感を得られるかを振り返ってみましょう。
たとえば、物を整理することが好きな方は、在庫管理や事務職が向いているかもしれません。人と話すことが得意な方は、接客業や営業職を検討してみるのもよいでしょう。自分の興味や関心事を書き出し、それに関連する職種を探してみることをお勧めします。
苦手なことへの対処法を考える
働く上で避けられない苦手な作業もあります。重要なのは、その対処方法を事前に考えておくことです。たとえば、予定の管理が苦手な方は、スマートフォンのリマインダー機能を活用することが有効です。メモを取るのが苦手な方は、音声メモを活用する方法もあります。
また、指示を聞き取るのが難しい方は、メールやメモでの指示出しを依頼することも検討しましょう。このような工夫を事前に考えておくことは、職場でのストレスを軽減することにつながります。
職場環境の確認ポイント
職場見学や面接の際には、働く環境についてしっかりと確認することが重要です。職場の騒音レベルや照明の明るさ、休憩スペースの有無など、感覚過敏がある方は特に注意が必要です。
また、仕事の進め方についても確認しましょう。指示の出し方や報告の頻度、チームでの作業が多いか個人作業が中心かなども、重要な確認ポイントです。実際に働き始めてから困らないためにも、面接時にできるだけ詳しく質問しておくと良いでしょう。
発達障害の方が働くときの困りごとと解決方法
発達障害の方が職場で経験する困りごとには、いくつかの共通点があります。これらの問題には適切な対策方法があり、事前に準備することが大切です。
仕事でのミスを減らす工夫
仕事中のミスは誰にでもありますが、発達障害の方は特に不安に感じることが強い傾向があります。たとえば、書類の確認漏れや入力ミスを防ぐために、チェックリストを作成することが効果的です。
また、作業手順を写真や図で視覚化して、手元に置いておくのも良いでしょう。急ぎの作業であっても、「落ち着いてゆっくり確認する」という意識を持つことが大切です。
コミュニケーションを上手に取る方法
職場でのコミュニケーションに悩む方は少なくありません。上手なコミュニケーションのためには、自分の特性に合った方法を見つけることが重要です。たとえば、口頭での指示が苦手な場合は、メールやチャットでの連絡を希望することができます。
また、相手の表情やニュアンスを読み取るのが難しい場合は、わからないことを率直に質問する習慣をつけましょう。会議や打ち合わせの内容は、必要に応じてメモを取ることをお勧めします。
仕事の優先順位をつける方法
複数の仕事を同時に進める際、優先順位をつけることに困難を感じる方もいます。この問題を解決するために、タスク管理表を作成することが効果的です。締め切りが近い順に作業を並べ、重要度に応じて色分けするなどの工夫をしましょう。
また、一日の始めに上司と打ち合わせをして、その日の作業の優先順位を確認することも有効です。急な割り込み作業が入った場合は、その都度上司に相談して優先順位の調整を依頼することが望ましいでしょう。
まとめ
発達障害の方が働くためには、自分の特性を理解し、適切な職業選択をすることが重要です。就職活動や職場での困りごとには、様々な支援制度や解決方法があります。さいたま市にある就労移行支援施設「アイトライ浦和センター（旧：アイトライさいたまセンター）」では、発達障害の方の就労に関する相談を受け付けています。
経験豊富なスタッフが、一人ひとりの特性に合わせた就労支援プログラムを提供します。就職に向けて一歩を踏み出すお手伝いをいたしますので、お気軽にご相談ください。
