統合失調症の方が安心して就職するためのポイントと支援制度

統合失調症と診断された方から「就職や働き方に悩んでいる」という声をよく耳にします。しかし、令和4年の統計では11万人以上の精神疾患のある方が企業で活躍しており、その数は年々増え続けているのです。この記事では、統合失調症の方が利用できる就労支援サービスや、安心して長く働くためのポイントについて解説します。

目次

統合失調症とはどんな病気なのか

統合失調症は、心や考えがまとまりにくくなる精神疾患の一つです。発症の原因ははっきりとわかっていませんが、精神的なストレスや人生の転機で起こる緊張がきっかけとなることがあります。

統合失調症の主な症状

統合失調症は精神疾患の一つです。薬による治療が可能ですが、症状の現れ方は一人ひとり異なります。

精神障害うつ病気分が落ち込む・何をしても楽しめないといった精神症状と、眠れない・食欲がないなどの身体症状が現れます
双極性障害(躁うつ病)気分が高まる躁状態と、憂うつで無気力なうつ状態を繰り返します
てんかん突然意識を失うなどの発作を繰り返し起こします
統合失調症陽性症状実際には存在しないものが見えたり聞こえたりします
陰性症状感情が薄れたりやる気が出なくなったりします
認知機能障害記憶力や集中力が低下します

働く時に感じやすい困りごと

職場での困りごとには、体調が安定しにくい・疲れやすい・集中力が続かない・意欲が低下するなどがあります。症状は人によって異なり、困りごとも一人ひとり違います。自分がどのような状況でストレスを感じるのか、把握しておくことが大切です。規則正しい生活と服薬を続けることで、症状の安定につながります。

精神障害者保健福祉手帳について

統合失調症の方は精神障害者保健福祉手帳(以下、精神保健福祉手帳)を取得できます。障がいの程度によって1級から3級までの等級があり、各種福祉サービスや税制上の優遇措置を受けることが可能です。等級によって受けられるサービスの内容が異なります。

1級日常生活を送るのが困難な状態
2級日常生活に著しい制限を受けている状態
3級日常生活や社会生活に制限がある状態

統合失調症の方の就職状況を知ろう

平成30年の障害者雇用促進法の改正により、統合失調症を含む精神疾患の方の雇用が義務化されました。企業は一定の割合で障がい者を雇用することが求められています。

働いている人の割合

令和4年6月時点で、雇用されている精神疾患者は約11万人です。前年と比べて11.9%増加しており、雇用は着実に広がっています。精神疾患の中でも統合失調症の方の割合は31.2%で最も多く、多くの方が活躍中です。働いている方の約半数が精神保健福祉手帳2級を持っています。

参照:厚生労働省|令和4年 障害者雇用状況の集計結果

参照:厚生労働省|平成 30 年度障害者雇用実態調査結果

多い職種と働き方の特徴

精神疾患のある方の雇用が多い業種は、医療福祉が20.0%、製造業が18.3%、卸売・小売が15.7%となっています。この他にもサービス業が14.3%、情報通信業が7.2%と続きます。これらの業種では障がい者雇用の実績が豊富で、働きやすい環境が整っている職場が多いようです。

参照:厚生労働省|令和4年 障害者雇用状況の集計結果

勤務時間の傾向

週30時間以上働く方が47.2%、週20〜30時間が39.7%、週20時間未満が13.0%です。身体障がいのある方の約8割が週30時間以上働いているのに比べ、統合失調症を含む精神疾患のある方は短時間勤務の割合が高くなっています。体調に合わせた働き方ができるよう、多くの企業で勤務時間への配慮がなされています。

参照:厚生労働省|平成 30 年度障害者雇用実態調査結果

統合失調症の方が就職後に長く働き続けるコツ

長く安心して働くためには、職場環境を整えることも重要です。障がい者雇用の実績がある企業には、働きやすい環境が整っていることが多い傾向があります。

柔軟な勤務形態がある

フレックスタイム制度や時差出勤・時短勤務・在宅勤務など、柔軟な勤務形態がある職場は働きやすい環境といえます。通院のための休暇が取りやすく、体調に応じて勤務時間や業務内容を調整できる企業では、安定して働き続けることができます。ラッシュ時を避けた通勤も可能です。

相談できる窓口がある

仕事上のストレスや体調の変化を相談できる窓口があると安心です。50名以上の事業場には産業医の選任が義務付けられており、健康面での相談もできます。また、就労支援機関のサポートを受けながら働くことも可能です。

精神疾患への理解がある

精神疾患に対する理解のある職場では、必要な配慮を受けやすく、安心して働くことができます。体調不良時の通院や症状悪化時の業務調整なども、周囲の理解があれば相談しやすくなります。就職活動の際は、企業の障がい者雇用への理解度も確認するとよいでしょう。

統合失調症の方が就職に向けて利用できる支援サービス

統合失調症の方の就職をサポートするため、様々な支援サービスがあります。このサービスを利用することで、経験豊富な専門スタッフに相談しながら自分に合った職場を見つけることができます。

就労移行支援事業所

就労移行支援事業所では、就職に必要なスキルを段階的に身につけることができます。生活リズムの改善から始まり、職場でのコミュニケーションの取り方・仕事の進め方まで、実践的な訓練を行います。利用期間は原則2年間です。(延長申請を行うことで、2年以上利用できる場合があります。)

地域障害者職業センター

地域障害者職業センターは、各都道府県に設置されている専門的な職業リハビリテーション機関です。職業相談や職業適性の評価・職業準備支援などのサービスを提供しています。精神保健福祉手帳の有無にかかわらず、統合失調症の診断があれば利用可能です。

ハローワーク

ハローワークには障がい者向けの専門窓口があり、専門の職員が就職をサポートしています。職業相談や職業紹介・障がい者向けの求人情報の提供を行っています。関係機関と連携した総合的な就職支援が特徴です。採用面接への同行や就職後の定着支援も実施しています。

統合失調症の方が就職するまでの心構え

就職に向けて、日々の生活リズムを整えることが大切です。支援機関を利用しながら着実に準備を進めていきましょう。

生活リズムを整える

規則正しい生活リズムは心身の安定につながります。決まった時間に起床し、食事をとり、服薬を続けることが基本です。生活リズムが整うと、仕事に必要な体力や集中力も自然と身についていきます。

自分に合った働き方を見つける

無理のない範囲で働くことが長く続けるコツです。支援機関での訓練や実習を通じて、自分に合った働き方を見つけることができます。フルタイムにこだわらず、短時間勤務から始めることも選択肢の一つです。

体調管理の方法を身につける

体調の変化に気づき、対処する方法を知ることは重要です。十分な睡眠をとる・ストレスをためない工夫をする・困ったときは早めに相談するなど、自分なりの対処法を身につけましょう。

まとめ

統合失調症があっても、適切な支援と職場環境があれば安定して働くことができます。就職に向けた一歩を踏み出すのは不安かもしれません。しかし、全国で11万人以上の精神疾患のある方が企業で活躍していることからもわかるように、多くの方が仕事を通じて自分らしい生活を送っています。

さいたま市浦和区にあるアイトライ浦和センター(旧:アイトライさいたまセンター)では、就労移行支援、就労定着支援、リワーク支援を提供しています。不安や疑問がありましたら、ぜひ一度見学にいらしてください。

浦和駅から徒歩5分の場所で、皆さまのご相談をお待ちしております。

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